ふしぎの国のバード

以前からイザベラ・バードを少しづつ読んでいて、純粋な地域文化への興味と、バードという人物への興味が半々くらいになりつつあったのだけど、ついに、バードの魅力を存分に表現する漫画が登場していた。ふしぎの国のバード 1巻 (ビームコミックス)作者: 佐…

中国奥地紀行

イザベラ・バードの中国旅行記。日本奥地紀行を読んで以来、バードに大変惹かれてしまった。詳しくは上記エントリを読んでもらうとして、まとめるならば、既存の価値観(≒西洋的な価値観)に囚われないし、一方でオリエンタリズムにも囚われないフラットな視…

月は無慈悲な夜の女王

映画化が決まったそうで。コロニー落としの元ネタとも言われる隕石落としは、今のハリウッド映画技術で映像化すれば、さぞよろしい絵と思う。ストーリー面は、いかにテンポよくできるかが課題だと思うけど。月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)作者…

猫はささやく

とうとう我が家にもネコがやってきた。あーかわいい。水槽やケージで飼えない生物を飼うのは初めてなので、色々お勉強中である。イヌはベジタリアンになれるけど、ネコは完全肉食動物なのでベジタリアンにはなれない、とか(ネコは必須栄養素のタウリンを体…

昭和史(半藤一利)

半藤一利さんの昭和史。評判通りオモシロイし、サクサク読めた。毎晩お風呂で読んでいたけど、仕事帰りでもすっと頭に入ってくる講義スタイルはありがたい。この2巻を読むと、満州事変のあたりから、ちょうど僕が生まれる前くらいまでの歴史がパッケージされ…

今日のトーテミスム

読もう、読もうと思っているレヴィ・ストロースの『野生の思考』。つまみ食い的に前のほうを読んでみると、「基本的なことは『今日のトーテミスム』に書いちゃったからね」みたいなことが書いてあって、それじゃあ「外堀から埋めよ」の法則に従って、『今日…

今年読んでよかった本 in 2014

毎年恒例、今年読んでよかった本をご紹介。ペースは落ちたと思っているけど、志向している通り、厚みのある読書ができていると思う。大塚英志の柳田國男入門とか、犬の伊勢参りなんかは、これまでの積み重ねがあってこそ面白く読めたし、南米文学もいくつか…

サイタ×サイタ

Xシリーズ5作目ということで、「サイタ×サイタ」(森博嗣)読み終わり。大方の予想通り、なにも起こりませんでした(四季が出てくる、とか)。あ、ネタバレ注意です(遅い)。サイタ×サイタ (講談社ノベルス)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 201…

社会を作れなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門

「社会を作れなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門」を読んだ。ずっと、このブログでは柳田國男のことを「ラスボス」呼ばわりしてきたけども、やっぱり、柳田國男はラスボスだった。これまで、遠野物語そのものとか、赤坂憲夫の遠野…

エネルギー問題入門

オアゾ丸善が謎の大プッシュだったので手に取りました。「エネルギー問題入門」というタイトルではあるが、読み進めると、テーマとしては「アメリカのエネルギー問題」であり、「政策決定者としてどうふるまうか」がクリティカルクエッションになっているこ…

タタール人の砂漠

「タタール人の砂漠」を読み終わる。スゴ本さんのブログで見てから、ずっと読みたいなーと思っていて、温めていた(積ん読のきれいな言い方)。あとがきを含め、読めば読むほどなんでこれを書いたのか、書けたのかさっぱりわからないけど、とにかく身に迫る…

転職のご報告

転職することにしました。やっぱり環境系でいきたい、ということで、シンクタンクの環境・エネルギー部門にて、研究員として働きます。なぜ若者は3年で辞めるのか?っていう感じですが、以下に少し備忘を残しておきます。 やっぱりコンサルじゃない3つの理由…

ジモティーの使い勝手が存外に良かった話

必要なモノと必要のないモノしか所有したくない、と思っている。全集合だろって?いや、そうではなくて、必要なモノと必要でないモノの間には、必要かもしれないモノとか、将来必要になるかもしれないモノとか、そういうグレーゾーンが広陵と広がっているわ…

昭和のヒーローゴジラとしては満点、だけど、そこには「ゴジラ」に固有のメッセージはない。

けっこう、イマサラ感ありますが、ゴジラ(ハリウッド2014版)見てきました。ちゃんと怪獣映画してて良かったです。GODZILLA ゴジラ 北米版 / Godzilla [Blu-ray+DVD][Import]出版社/メーカー: Warner Home Videoメディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (4件…

どうやって今の我々があるのか?を忘れないために。

リョサの「緑の家」を読み終わる。「密林の語り部」が先で良かった。彼がどこを目指して物語を紡いでいるのかがわからないと、何のための物語か、きっとわからなくなってしまう。緑の家(上) (岩波文庫)作者: M.バルガス=リョサ,木村榮一出版社/メーカー: …

対称性の復活

ついにカイエ・ソバージュ最終巻まで辿り着いた。1〜4巻まで読んできた身としては、こんなにわかりやすいものはない、という感じですらすら読める。対称性人類学 カイエ・ソバージュ 5 (講談社選書メチエ)作者: 中沢新一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004…

コミュニティの再構築、という一番大切なところを物語る

久しぶりの池澤夏樹。東日本大震災後に書かれた一冊で、明確に震災のこと、震災に大きく人生を狂わされた人々、その後の人々のこと、が描かれている。ファンタジー調ではあるものの、書いてあることは大変現実的なことだ。双頭の船作者: 池澤夏樹出版社/メー…

ムカシ×ムカシ

裏表紙を読んで、京極かよ!と思ったのは内緒。ムカシ×ムカシ (講談社ノベルス)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/06/05メディア: 新書この商品を含むブログ (19件) を見る ついにXシリーズもノベルスで読むようになってしまったことよ。本作…

ゴジラを倒したのは、オキシジェン・デストロイヤーではない

「ゴジラ」を映画館で見てきた。ハリウッド版ではなく、1954年公開の初代版。ゴジラ(昭和29年度作品) [60周年記念版] [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2014/05/14メディア: DVDこの商品を含むブログ (22件) を見る 昔から予習は欠かさない人間でして。ハ…

オークランド行ってきた

ニュージーランドはオークランドへ。ゴールデンウィークを微妙に外すと、シーズンオフなので結構お買い得。写真があったほうがブログとしても絵になるな、と思ったけど、写真を撮るために旅行しているわけではないし。 海外初運転! 初日は、ピハ・ビーチ。…

「笹まくら」を戦争ものだ、というだけで評価したくない

笹まくら。笹を枕にしたときのように、かさかさと不安な旅。笹まくら (新潮文庫)作者: 丸谷才一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1974/08/01メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 29回この商品を含むブログ (55件) を見る 時代の空気を読む この時代、70年代く…

わが悲しき文豪たちの思い出

マルケスが亡くなったそうだ。読み途中になっていた、マルケスとリョサの対話を急いで読む。急いで読んだって仕方がないのだけど、例えばそれは、すでに出発している、想い人が乗った電車を2,3歩ほど追いかけるような気持ちに近いかもしれない。疎外と叛…

春の新書祭り

電車での長距離移動が増え、まとまった時間ができたので、親書をいくつか読んだ。企画中だった新書を増税前の3月までに出してしまおうという出版社の意図だろうか、ラインナップに興味を惹かれるものが多かった。インフラの呪縛: 公共事業はなぜ迷走するの…

人間にとっての、物語の必然性

「密林の語り部」を読む。すごくおもしろかった。個人的に、自分の思想によく連なる内容でありながら、新しい視座を与えてくれる物語だった。密林の語り部 (岩波文庫)作者: バルガス=リョサ,西村英一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/10/15メディア…

犬の伊勢参り

ちょうど伊勢へ行くので、予習がてらに。けっこう「考える余地」のある本なので、おもしろいです。犬の伊勢参り (平凡社新書)作者: 仁科邦男出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2013/03/15メディア: 新書この商品を含むブログ (19件) を見る お伊勢参りへ プロ…

スピリットから神が生まれる?

中沢新一のカイエ・ソバージュ4巻目。「熊から王へ」で、王がどのように誕生してきたのかを明らかにするように、どうやって神(一神教の言うところの唯一神)が生まれてきたのかを明らかにしていく。神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉 (講談社選書メチエ)作…

復活&読書メモ

生存確認ポエム的なにか 復活しました。この2ヶ月は地獄だった。まったくもって相性の悪い上司と2人でプロジェクトというのは堪えるものがある。やっぱり、体育会系の方とは合わないんだなーと実感。 毎日絶望して帰ってきて、「夜と霧」を抱いて震えて眠っ…

世界美術への道

ついに辿り着いた。「岡本太郎の宇宙」最終巻。岡本太郎が文化人類学的な観点から世界に向き合っていたときの文章を中心に、対決の奇跡が綴られる。メキシコ人よりもメキシコ人らしいふるまい。現代の人間も通過儀礼(イニシエーション)を求めているのでは…

今年読んでよかった本 in 2013

毎年恒例、今年読んでよかった本をご紹介。今年は既読本をすべてブログに落とすのは難しかったけど、しかるべきものは書いたと思っている。「岡本太郎の宇宙」も読破したし、民俗学の二大巨頭である柳田國男と南方熊楠の世界に肉薄できた。「仕組みや制度」…

キウイγは時計仕掛け

「キウイγは時計仕掛け」(森博嗣)読了。なお、以下大変にネタバレというか、既読の人しか意味がわからない考察をします。主に言葉遊びをします笑キウイγは時計仕掛け (講談社ノベルス)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/11/07メディア: 新…