猫はささやく

とうとう我が家にもネコがやってきた。あーかわいい。水槽やケージで飼えない生物を飼うのは初めてなので、色々お勉強中である。イヌはベジタリアンになれるけど、ネコは完全肉食動物なのでベジタリアンにはなれない、とか(ネコは必須栄養素のタウリンを体内で合成できないので、肉を食べる必要がある!)。ちなみに、カバーを外すと、おそらく原著の表紙が見え、かわいらしい。原題は"The Cat Whisperer"(意訳:猫はささやく)。いいなぁ。

ネコ学入門: 猫言語・幼猫体験・尿スプレー

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ネコの性格形成

 おもしろかったのは、ネコの性格形成。ネコも人と一緒で、遺伝と環境とで性格が決まっていく。生まれつき、人懐っこいネコと、そうでもないネコがいる。一方で、幼猫期の環境次第では、すぐ怖がる子になってしまったり、愛嬌のある性格になったりと、だいぶ異なる。
 友人宅の白ネコはすごく怖がりで、僕がお邪魔すると、3〜4m離れた冷蔵庫の上まで逃げていく。しかし、これでも「まとも」になったそうで、以前は一目散に別の部屋に逃げていくほどだったという。そのきっかけは、大きな病気をしたときだという。そんなことで性格が変わるものだろうか?
 本書によると、どうやら、経験的に、そういうことはあるようだ。深刻な病気を患うと、ネコは本能的な逃走反応に従うことができなくなり、人間の世話がどうしても必要になる。そうすると、親ネコが子ネコの世話をするような関係性が再現される。人間に対して自分が恐れていたことは起きず、むしろゴハンと暖かい居場所提供してくれる存在なのだ、と。こうした子ネコ時代を追体験より、性格が変わる、特に穏やかになることがあるようだ。

ネコは家付き

 イヌは人に付きネコは家に付くという。なんとなく、動物の野生は尊重してあげたいな、と思っているので、マンションではベランダにすら出してはいけない、というのは最初少し戸惑った。里親募集の会のようなところにネコを貰いに行ったのだが、網戸には防護ネットを配置し、玄関にも逃走防止柵が必要とのことだ。確かに、生まれてから長く室内で生きてきたネコにとって、都会の野外(?)に出て行くと危険がいっぱいだろう。外との出入りがあるネコと完全室内の猫では寿命がずいぶんと違うらしい。

狩りと遊び

 うちのネコはかなり人懐っこく、初日から遊びまわっていた。成長とともに遊び方は変わっていき、今では明確に「狩り」と「遊び」が分かれている。揺れている猫じゃらし系おもちゃに飛びつくのは「遊び」だ。余力を残して飛びついたり、猫パンチをする。
 「狩り」では、すぐに飛びつかない。一定の距離を保ってから、獲物(ぬいぐるみ)までの距離を測る。物陰などに隠れるとなお良い。そこから、おしりをモゾモゾさせ(本書によれば、狩りの対象の居場所が把握できているときに狙いを定める行為)、全力で飛びかかる。獲物の動きも多様にしてやると満足度が高いようで、「瞬間的に逃げる」、「長い距離を逃げる」、「ハイジャンプ」、「クッションに隠れる」、「捕まる」などを用意してあげている。ネコ様を満足させてあげないと、夜寝るときに後悔するのはこっちなのだ。

猫的感覚: 動物行動学が教えるネコの心理

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