2012-01-01から1年間の記事一覧
「トーマの心臓」(森博嗣)読了。「憧憬」というのは、難しい感情だと思う。トーマの心臓 Lost heart for Thoma (文庫ダ・ヴィンチ)作者: 森博嗣,萩尾望都,原作:萩尾望都出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2012/04/23メディア: 文庫 クリック: …
伴読部のスタートのとき、「理系っぽいセレクトもあったらな」という話があったような気がしていて*1、確かにそれも一理あるな、などと思いつつ、『熊から王へ』みたいな境界分野でノラリクラリしていたわけだ。ので、ここは一発、前提知識がなくても楽しめ…
年末です。毎年恒例、今年読んでよかった本をご紹介。対象は、僕が今年読んだ本のうち、オススメできる本。あと、このブログで言及したもの。ブログで感想書いてる以外にも何冊か読んではいるけど、それらは僕としては「読めていない」という扱いなので、取…
「秋葉原事件」(中島岳志)読了。この本は僕のナチュラルな射程からは少し外れる。この本を持ってきたのは、いつもの伴読部でも、わりと挑戦的なセレクト*1をしてくる赤亀さん(id:chigui)。結局、その回は違う本になってしまったのだけど、最近は本を読む時…
皆の語るレヴィ・ストロース評を読んでも、まあスゴイのかな、くらいにしか思えないけど、「悲しき熱帯」を読めば、わかる。これは、すごいですよ。しかるべき感受性を持った人が、しかるべき文脈で読めば、面白くないわけがない。悲しき熱帯〈1〉 (中公クラ…
「評伝 技師 青山士」(高崎哲郎)読了。万象に天意を覚えるのは、もう少し先になりそうです。評伝 技師 青山士―その精神の軌跡 万象ニ天意ヲ覚ル者ハ…作者: 高崎哲郎出版社/メーカー: 鹿島出版会発売日: 2008/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件)…
「ねむり姫」(澁澤龍彦)読了。本による地獄めぐり、寄り道編。ねむり姫―澁澤龍彦コレクション 河出文庫作者: 澁澤龍彦出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1998/04/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 24回この商品を含むブログ (30件) を見る 地獄め…
「地獄の思想」(梅原猛)読了。地獄とは、善悪の価値判断とは関係のないものだ。地獄の思想―日本精神の一系譜 (中公文庫)作者: 梅原猛出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2007/05/01メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (7件) を見る 旅と…
「不毛地帯」(山崎豊子)読了。商社の真髄が見える資料であり、同時に覚悟を問う物語。不毛地帯(一) (新潮文庫)作者: 山崎豊子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/03/17メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 86回この商品を含むブログ (58件) を見る 周り…
国でも時代でもなく、東インド会社という切り口が秀逸。今回は赤亀さんの推薦で、あまり慣れない「歴史」に挑戦することに。東インド会社とアジアの海 (興亡の世界史)作者: 羽田正出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/12/18メディア: 単行本購入: 2人 クリ…
「ウナギ 大回遊の謎」(塚本 勝巳)読了。ウナギの産卵場探しはトレジャーハンターのよう。ウナギ 大回遊の謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)作者: 塚本勝巳出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2012/06/16メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ…
思弁的、という言い方で良いのだろうか。河岸に繋留された舟で暮らす男の物語は、物語というにはあまりにストーリーを放棄しており、そうであればこそ「掬い上げられるべきもの」がまっとうに掬い上げられている。河岸忘日抄 (新潮文庫)作者: 堀江敏幸出版社…
文明崩壊の後、が語るモノローグ。今回はなむさんのセレクト回です。エンジン・サマー (扶桑社ミステリー)作者: ジョンクロウリー,John Crowley,大森望出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2008/11メディア: 文庫購入: 37人 クリック: 234回この商品を含むブログ…
特撮はartなんだ! 東京都現代美術館でやっている、「特撮博物館」という企画展示。すごかったです。メインディッシュのショートフィルム「巨神兵、東京に現る」もすごかったけど、そのあとに控えていた、特撮スタッフさんのメイキング映像と特撮美術倉庫が…
「水神」(帚木蓬生)読了。現代にはない土木事業の姿が。水神(上) (新潮文庫)作者: 帚木蓬生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/05/28メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る 別府は雨だった。せっかく旅行に来ているのに大雨…
去年は北の地獄へ行ったので、今年は南の地獄へ行ってみたのです。 天国と地獄とではどちらが好きか、ということを尋ねられたら、迷わず「地獄」と答える。天国や地獄を見る機会はなかなかないのだけど、例えば本だったり、神話だったり、宗教画、歴史的な建…
今回の伴読部はEXTRA回。第7回でないのは、この本を選んだのがメンバーではなく、伴読部そのものだから。「贈与論」を選んだ、というよりは、この流れならやはり「贈与論」は抑えておこう、という文脈が存在したのです。贈与論 (ちくま学芸文庫)作者: マルセ…
夏休みになったので「死刑弁護人」を見てきた。小学生の夏休みに「少年H」を読む的な。 「オウム真理教事件」の麻原彰晃や、「和歌山毒カレー事件」の林眞須美、「光市母子殺害事件」の元少年とか、どう考えても誰もやりたがらない被告の弁護人を行う人物。…
ただのメモです。 ロジカルシンキング 考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則作者: バーバラミント,Barbara Minto,山崎康司出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 1999/03/01メディア: 単行本購入: 76人 クリック: 775回この商品を含むブ…
思いのほか長く続き、という言い方も失礼かもしれないが、2巡目が終わろうとしている伴読部。今回は僕の指定回だったので、久しぶりに小説を、と思い、去年読んだ「シェル・コレクター」がオオアタリだったアンソニー・ドーアの新作を選んだ。本屋大賞の翻…
「木」(幸田文)読了。木をまっすぐに見つめるということ。木 (新潮文庫)作者: 幸田文出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1995/11/30メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 26回この商品を含むブログ (27件) を見る 以前、幸田文の「崩れ」を読んだ。「感動の伝達…
「1Q84-6」(村上春樹)読了。リトル・ピープルを退けるものは。1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編 (新潮文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/05/28メディア: ペーパーバック購入: 3人 クリック: 53回この商品を含むブログ (51件) を見る 1…
「戦略思考コンプリートブック」(河瀬誠)読了。なりふり構っていられないとき、良書に出会うのだ。戦略思考コンプリートブック作者: 河瀬誠出版社/メーカー: 日本実業出版社発売日: 2003/07/10メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 40人 クリック: 164回…
それでも、何世紀ものあいだ、世界中の女性たちが力を振るうためにスカートをまくりあげてきたことは、紛れもない事実だ。 ヴァギナ 女性器の文化史 (河出文庫)作者: キャサリン・ブラックリッジ,藤田真利子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/02/04…
「1Q84-1」(村上春樹)読了。読みやすいシチュエーション、読みにくいシチュエーション。1Q84 BOOK1〈4月‐6月〉前編 (新潮文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/03/28メディア: ペーパーバック購入: 4人 クリック: 673回この商品を含む…
「草地と日本人 日本列島草原1万年の旅」(須賀丈,丑丸敦史,岡本透 )読了。草原ってあまりなじみのない風景と思っていたけど……草地と日本人―日本列島草原1万年の旅作者: 須賀丈,丑丸敦史,岡本透出版社/メーカー: 築地書館発売日: 2012/02/01メディア: 単行…
「百年の愚行」(Think the Earth Project)読了。想像力とモチベーションと。百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY [普及版]作者: 池澤夏樹,アッバス・キアロスタミ,フリーマン・ダイソン,鄭義,クロード・レヴィ=ストロース,小崎哲哉,Think the Earth Pr…
『新興国マーケット進出戦略「制度のすきま」を攻める』(タルン・カナ クリシュナ・G・パレプ)読了。新興国マーケット進出戦略―「制度のすきま」を攻める作者: タルン・カナ,クリシュナ・G・パレプ,上原裕美子出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日:…
よくわからなかった。いや、書いてあることはわかったんだけど、その内容の重要性がよくわからない。現在の問題とあまりリンクしているように思えなかったからだ。やっぱり問題意識の在処が違うんじゃないかな。もう少し経済の歴史を、世界恐慌の辺りから冷…
「タカイ×タカイ」(森博嗣)読了。Xシリーズの3つ目。ネタバレありかも。タカイ×タカイ CRUCIFIXION (講談社文庫)作者: 森博嗣出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (13件) を見る もうね、完全に個別のトリック…