課題解決できる思考のOS

「戦略思考コンプリートブック」(河瀬誠)読了。
なりふり構っていられないとき、良書に出会うのだ。

戦略思考コンプリートブック

戦略思考コンプリートブック

目次
序章  戦略思考であなたの付加価値を高めよう
第1章 戦略思考のアプローチを知ろう
第2章 左脳でイシューツリーを作る
第3章 右脳で仮説の手がかりをつかむ
第4章 論点を分解し初期仮説を作る
第5章 仮説を実際に検証してみる
終章  戦略思考であなたの人生を豊かにしよう

やっぱり苦しんでいるときは良い本に出会えるな、という印象。いや、もう本当に研修が大変なことになっていたんだけど、この本を買ったあたりから道筋が立った感じで。

だいたいビジネス書を買おうとすると権威に寄りかかりがちで、この本と迷っていたのがポーターの競争戦略とか、マッキンゼーがどうの、みたいな本だったんだけど、咀嚼に時間がかかる割には、僕らが陥りがちなポイントをすっ飛ばしている感があって、なんだろう、「フレームワークそのものの説明はわかったよ、でもできないんだ」という問いには答えてくれない。結局、丸善の本店でうんうん唸ったあげく買ったのが本書で、この本はその問いに答えてくれている、ように思う。以下まとめ。

戦略思考のアプローチ

  • 戦略思考のゴールはファクトをアクトに落としこむこと
  • 課題解決の王道は仮説検証のサイクルを回すこと
  • 論点は小さく分解しよう

イシュー型とピラミッド型

「基礎トレーニング」とされた2・3章の旨みは箇条書きにすると、常識的で退屈なアタリマエの内容になるので、考えたことを文章で。
イシューツリーについては、MECEに分解していくイシューツリーと、ピラミッド構造で分解していくツリーはそもそも違う種類のものだ。両者を混同するといつまでもモンスターツリーしかつくれない。前者で自分のアタマを整理して、後者で他人に説明するというかたちか。もちろん前者が他人にわかりやすいかたちであれば、それを用いても良い。

初期仮説をつくる7つのステップ

  • 課題の目的と動機の共有
  • 右脳作業:仮説の洗い出し
  • 左脳作業:課題の論点分解
  • 右脳と左脳の突き合わせ
  • 仮説とイシューツリーの見なおし
  • 検討課題の洗い出し
  • 作業プランの作成

ポイントは1から6までのサイクルを、仮説に違和感ががなくなるまで繰り返すこと。初期仮説はたいてい間違っているので、その仮説に固執せずに何度も作り変えることだ。経験の少ないうちは初期仮説の精度が低いため、作っては壊し作っては壊しの砂の城を何度も繰り返す必要があるだろう。

やっぱり言葉でまとめると大したことを言っていない気がするな。実践(戦)時の指南書として使うのが正しい使い方かも。「わかるけどできない」を打破できる良書。これからも使っていきます。