「制度のすきま」を攻める

新興国マーケット進出戦略「制度のすきま」を攻める』(タルン・カナ クリシュナ・G・パレプ)読了。

新興国マーケット進出戦略―「制度のすきま」を攻める

新興国マーケット進出戦略―「制度のすきま」を攻める

目次
第1部 新興国を理解する
 第1章 「制度のすきま」とは何か
 第2章 「制度のすきま」を特定する
第2部 成功企業の具体例
 第3章 「制度のすきま」をビジネスにする
 第4章 多国籍企業新興国市場に進出する場合
 第5章 エマージングジャイアント―母国で競う場合
 第6章 エマージングジャイアント―海外に進出する場合
 第7章 勃興する世界

新興国市場の定義

「買い手と売り手を容易に、あるいは効率的に引きあわせて取引させる環境が整っていない」市場のこと。

新興国ビジネスで考えるべきこと

「制度のすきま」を考えるフレームワーク

1, 自社が選んだ市場において、どの市場が機能し、どの制度が欠如しているか
2, 自社のビジネスモデルの中で、その国の「制度のすきま」によって不利になるのはどの部分か
3, 既存の能力を土台に、いかに競争優位を構築し、「制度のすきま」を切り抜けていくことができるか
4, 「すきま」を埋める機会を特定し、市場仲介者の役割を果たすことによって、いかに新興国市場の現状の構造を有利に活用できるか

フローとしては1→2→3→4なんだけど、3と4って切り分けられるのかなあ?「既存の能力を土台」にして「構造を有利に活用」するのが自然じゃない?そうでもないか。M&Aで自社のケイパビリティを伸ばしてもいいんだものね。

「制度のすきま」への対応4つ

1, 再現か、適応か
2, 独力で競争するか、協業するか
3, 市場環境を受容するか、改革を試みるか
4, 参入するか、待つか、撤退するか

これはまあ、それほどオリジナリティのあるものではないけれども、とるべきアクションとしては網羅性が高い。特に1の「再現か、適応か」はけっこう重要。Appleみたいにターゲットセグメントを富裕層にして、グローバルレベルの製品を展開するか、P&Gみたいにターゲットセグメントをかなり下まで広げて、ローカルレベルの製品を展開するかは、意外と難しい。

どんな「すきま」があるか?

1, 信用の裏付けを行う制度
2, 情報分析とアドバイスを行う制度
3, 集約と流通を担う制度
4, 取引支援の制度
5, 仲裁・審判を行う制度
6, 規制する制度

ここが一番重要かな。それで、その「すきま」はどこにあるの?というところだから。これらは、資本市場・製品市場・人材市場について考える必要があって、マトリクスになるのかな。アタリマエだけど、どのセグメントにリーチするかによって「制度のすきま」の量は変わる。グローバルほど少ないし、ボトムほど多い。