特撮博物館行ってきた

特撮はartなんだ!

 東京都現代美術館でやっている、「特撮博物館」という企画展示。すごかったです。メインディッシュのショートフィルム「巨神兵、東京に現る」もすごかったけど、そのあとに控えていた、特撮スタッフさんのメイキング映像と特撮美術倉庫が、めちゃくちゃ面白かった。
 例えば、いかにビルの破壊を表現するか。火薬でミニチュアを吹っ飛ばすのもいいけれども、それだけでは物足りない。リアルの構造物をダイナマイトで解体する時みたいに、鉛直方向に沈むように破壊する。ひとつづつガラス窓に糸をつけて、崩れ落ちていく様を演出する。
 例えば、高温によるビルの溶解をどう表現するか。巨神兵プロトンビームがビルを貫くとき、その熱でビルが溶ける。実際には溶けるはずもなく、スタッフは頭を悩ます。結局、なんだかよくわからない溶液のようなものに、赤鉄色の塗料を混ぜ込んで表現していた。
 楽しそうにやっているんだ。スタッフさんたちが。イメージを伝えられて、アイデアを出して、実際にやってみて、イメージと一致したときの熱狂。特撮って、ただの手法だと思っていたけど、「つくる」とか「ふれる」という視点に立てば、こんなにおもしろかったんだ、という。

こうして、映像になった瞬間から、ただの映像なので。そこにあるものじゃないんですよ。もう擬似的なものです。

って、庵野さんが上の動画で言っていたけど、まさにその通りだなと思う。こういったものがartじゃなくてなんなのだろうか?土木工学を齧った身としては、artっていう言葉が単に「芸術」という意味だけではなく、「技術」としての側面を強く握っていることは、それなりにわかっているつもりで。
 映像になってしまえば、もうCGも特撮も関係ない。かっこいいほうが正義だし、安いほうが強い。だからメインストリームとしては間違いなく滅びる。でも、artとして見るなら、これほど贅沢なものって、なかなかないんじゃないか?