神は妄想である

「神は妄想である」(リチャード・ドーキンス)読了。
ちなみにドーキンスで僕が読んだことあるのは
利己的な遺伝子 <増補新装版>祖先の物語 ~ドーキンスの生命史~ 上

神は妄想である―宗教との決別

神は妄想である―宗教との決別

<目次>
はじめに
第1章 すこぶる宗教的な不信心者
第2章 神がいるという仮説
第3章 神の存在を支持する論証
第4章 ほとんど確実に神が存在しない理由
第5章 宗教の起源
第6章 道徳の根源―なぜ私たちは善良なのか?
第7章 「よい」聖書と移り変わる「道徳に関する時代精神
第8章 宗教のどこが悪いのか? なぜそんなに敵愾心を燃やすのか?
第9章 子供の虐待と、宗教からの逃走
第10章 大いに必要とされる断絶?
訳者あとがき
文献目録



 たぶん、「タイトルは釣り」なんだと思う。本書は「神が存在しない」ことを証明するために書かれてはいない。日本語版のサブタイトル「宗教との決別」のほうがより本書の内容を表している。ドーキンスの目的は、宗教肯定派を痛烈に攻撃することではなく、だいたい中立くらいだけど宗教を疑問視する層を懐疑派にすること、あるいは、無神論者であると言うと犯罪者のように見なされる状況を変えたかったのだろう。
個人的に最も興味深かったのは5章。

二つの異なる宗教は、二つの異なるミーム複合体と見ることができるかもしれない。

 今日の宗教というのは誰かが意図的に誰かが設計したものというよりは、「副産物」的に生み出され、それが自然淘汰的なプロセスを経てつくられたのかもしれない、という指摘は面白い。宗教をダーウィン主義の目線で見るとそうなるのか。

 ただ、僕がこういうふうに冷静でいられるのも、日本に住んでいて、まわりに宗教を強く信仰するような人がいないからかもしれない。ドーキンスが宗教に敵愾心を燃やしているのを見ると共感するが、どちらかというと5章のような「宗教はこんなプロセスでできたのかもよ」、のほうに目が行ってしまうのは、日本が宗教に対して非常にフリーな立場にあるからだと思う。