εに誓って
「εに誓って」(森博嗣)読了。
誰もがミッキーマウスを理解する。
εに誓って SWEARING ON SOLEMN ε (講談社文庫)
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/13
- メディア: 文庫
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誰もがミッキーマウスを理解する。ヘルマン・ヘッセをわずかの人が理解する。ほんのひとにぎりの人がアルベルト・アインシュタインを理解する。そしてノートン皇帝を理解する者は一人もいない。
というジョークがあるらしい。本書からの引用ではない。
さて、文庫落ちしたので、さっそく買ってきたGシリーズ4作目。テーマは、なんだろう、宗教?副題も"Swearing on solemn ε"だし、本書の引用もヘッセの「シッダールタ」だしね。以下、ネタバレもあるかも。
まず、キャラクタの性格が変化してきてるなーと思った。特に、国枝先生。まるくなった気がするのだが、結婚の影響だろうか。萌絵*1も、作中で言及があるように、明らかに行動指針が変わってきている。こういうところ、シリーズもの×キャラクタ小説が存分に活かされていてすごいな、と思う。
みんな気になるギリシャ文字の謎。本作でもさっぱり分からない。θのときも似たようなセリフがあったけど、εは「関係」らしい。ひとつ思うのは、もしかしたら、ギリシャ文字は自殺と関連性が高いのかもしれない。φは自殺だったし、θも実質的に自殺、今回のεは明らかに自殺。τは違うような気がするけど、森博嗣のことだから、これは偶然だったみたいなことをしかねないよなあ……
物語の一番の進展は、ギリシャ文字の「関係」について、「εに誓って」のメンバがきっぱりと「宗教ではない」と言っていることだ。もちろん真賀田四季が教祖をやっているなんて凡庸な話ではあり得ないだろうけど。ただ、少なくとも、メンバの言う「絶対的な存在」というのが、宗教的な意味での絶対性ではなさそうだ。
あ、そうだ。Gシリーズが面白くないと言っている方々へ。感想ブログをいくつか見て回ったけど、結構いるみたいだ。それはたぶん、ひとつの事件のトリックに期待しているからだと思う。単なる叙述トリックとして読むなら、「今はもうない」のほうがクオリティが高い*2。
そうじゃなくって、シリーズを通してのトリックというか謎というか、を考えると面白いと思う。シリーズが出揃ってから、一気に読むというのもありかも。いや待て、シリーズ単位で分かるとは限らない。Xシリーズも絡んでくるらしいから……などとぐちゃぐちゃ考えるのが醍醐味ではないかな?いやまあ、好き好きだけども。