オークランド行ってきた

ニュージーランドオークランドへ。ゴールデンウィークを微妙に外すと、シーズンオフなので結構お買い得。写真があったほうがブログとしても絵になるな、と思ったけど、写真を撮るために旅行しているわけではないし。

海外初運転!

 初日は、ピハ・ビーチ。オークランドの北にあるワイタケレの山を越えると、西海岸に出る。曲がりくねった道を、車でおっかなびっくり走って1時間、山が開け、霧がかった入り江が見える。てきとーな公園に車を停めると、河口を挟んで、見上げるように100mクラスの大岩。これは、良い。どうやら、ライオンロックと呼ばれる、原住民にとって象徴的な岩だったようだ。しかも、登れる。眺めて良し、登って良し。日本で言うと、と考えて思いつかない場所は、まず来てよかったと思える場所だ。
 海外で車を運転したのは初めてだったけど、左側通行だったし、左側通行だったし、特に問題なし。とりあえず、HERZレンタカーにしておけば安心、というところか。混雑したラウンドアバウトのは、どうも大縄跳びでいつ入ればわからない子のようになってしまい焦るけれども、まあ、皆さん優しいので大丈夫。

レモン・アンド・パエロア

 コカ・コーラ社がNZのみで発売しているL&P。空港を降りて真っ先に買ったのがL&Pで、$5紙幣を差し出すと、おつりは50セント硬貨。ふーん、と思ったが、よく考えるとおかしい。ニュージーランドドルは$1=85円程度だから、$4.5≒380円。500mlのペットボトルが380円もするのか!一瞬、ぼったくられたかと思ったけど、500mlペットボトルが$3.5≒300円以上するのはだいたい相場通りのようだ。つまり、そもそも、物価が高い。消費税15%は伊達じゃない。
 でもやっぱり、都市部も郊外もアジアのようにモノやヒトで溢れかえっておらず、成熟した豊かを感じさせる。オーストラリアと同じように、街そのものが公園のようにきれいで、お金で治安とキレイを購入しているということだろう。

神木カウリと貴族的な博物館

 ワイポウア自然保護区へカウリの巨木を見に行く。オークランドから車で数時間かけ、なんとか辿り着く。
 今まで見たことのない森林の様相で、けっこう明るい。マオリの神木と言われるものは50mくらいの高さがあって、幹の円周も13mほど。大きく成長できるのは、樹皮や枝を自ら落とす性質があるからで、これが着生植物の付着を防いでいる。森林が明るいのもこのためかも?落ちた樹皮には樹脂が付いていることがあって、これがカウリ・ガム、つまり琥珀になる。
 保護財団のカウリ博物館に閉館ギリギリに滑りこむと、「もう閉館だから早く見ておいで、入館料タダでいいから」と言われる。なんだこの国。いらないのか?$20?係員さんの激推しは地下のカウリ・ガム・ルーム。当時の入植者貴族が所有していた琥珀のコレクション。両手で抱え込むくらいの破格のサイズのものから、貝のかたちに精緻に加工されたものまで。10分位しかみていないけど、あれって、かなり凄いコレクションなんじゃ……
 木彫のキウイがあったので、お手頃なサイズのものを購入。カウリの木でできているかを聞くと、どうやらスワンプ・カウリというもので、古代の倒木を利用しているらしい。大気に触れない状態の倒木は良い状態で保存されるが、一度大気に触れると、腐食がはじまってしまう。その腐食が始まる前に加工したものが、こうして製品になるのだという。

再興された鳥のサンクチュアリ

 天気予報が毎日、晴れ時々曇り時々雨、なので毎日、空とにらめっこして出かける。ティリティリマタンギ島は、野鳥のサンクチュアリ。$5でボランティアのガイドさんに案内してもらえるのも良い。いかにも鳥好きなおじいさん、といったふうで、熱心に解説を始める。もとから鳥の楽園とばかり思っていたけど、1980年代までは農場・牧場開発が進み、ほとんど自然は失われていたらしい。
 そこから、自然修復を始めて、鳥が戻ってきたのだという。やっぱりオーストラリア・ニュージーランドは環境先進国だな、と思う。日本だと、小笠原の兄島でヤギの根絶に成功したのが3年くらい前。自然をうまくコントロールする、ということで言うと、積み重ねてきた時間が違う。
 郊外に出ると広大な牧草地が広がっていて、これだけの環境改変を18世紀からわずか200年やそこらでやってきたわけで、「環境をコントロールする」ということに対して敏感、あるいは馴染みがある、決して遠い昔の記憶ではなく曾祖父さんくらいの話、ということだろう。日本人が氾濫原を水田に変えてきたのはもっと昔からのことで、時間的な断絶は大きい。水田を宅地に変えるのとは、規模がぜんぜん違う。それを、みんな肌感覚のある歴史として持っている、というところではないか。
 NZは飛べない鳥が一番多い国だそうだ。大型肉食獣がいないことが理由と考えられている。体長3mはあったというモアが絶滅してしまった今でも、キーウィ、プケコ、タカへ、ニュージーランドクイナ、リトルブルーペンギンなどなど、色々見れる。ティリティリマタンギ島でも、この辺の種は一通り見れる。

 プケコとタカへは、どちらも群青色の胴体に紅色の嘴が美しい鳥。太っちょで大きいほうがタカへ。タカヘは動物食なのに対して、プケコは植物食。食生活のスタイルが形態に違いをもたらしているのだろう。
 ツアーに参加しているおばあさんは、ガイドの説明よりも、鳥のほうが気になるようだ。それはそうだ。ほとんど鳥を見に来ているのだから。
 ツアーのなか、ガイドのおじいさんが何度も言及する鳥がいて、これはおそらくNZでも希少な鳥だろう。スティッチバード。オリーブ色のスズメのような鳥。一属一種の近縁種がいない鳥で、進化の過程はわりと謎。だいたい、生き物マニアは普通種はスルーし、希少種に注目するものだ。旅行者にとっては、すべてが珍しいから、派手な種、特徴的な種に目がいくもの。逆に、このギャップを見れば、話している内容からその土地の希少種がわかる、とも言える。
 島内には、いくつかジュースを入れた箱があって、そこにベルバード(ミツスイ。小笠原で見たメグロに近い?)と一緒にスティッチバードも集まっていた。野生環境下にこんなものを置いていいのだろうか?少し調べると、ハニーイーター(蜜を吸う鳥)はいくつかいて、大型のトゥイやベルバード、そしてスティッチバードなどがこれに当たる。そのため、種間競争、つまり蜜の奪い合いにどうしてもなってしまう。スティッチバードは最も小型なので、例えばトゥイの好む林冠木の大きめの花を利用しない。そうなると、充分な環境の整わない島内では、補助的に、トゥイの訪れないようなジュース箱を設けてあげる必要がある、ということになるだろう。小さな花の代わりに、ジュース箱。
 ティリティリマタンギに一泊すれば、夕方に巣に戻るリトルブルーペンギンや、夜行性のキーウィが見れる可能性があるが、今回はパス。結局、キーウィはオークランド動物園で見た。かなり臆病な鳥と見え、真っ暗の室内でも、にぎやかな子どもたちの前には一向に姿を現さない。待つこと20分ほど、二匹のキーウィが姿を現す。想像よりも大きい。大きさはニワトリと同じくらいだが、頭と胴体がほぼ同一なので、大きく見える。嘴は体の1/3ほどあって、これまでまったく見たことのないタイプの生き物だ。野生で見ることができたら、さぞ楽しいことだろう。
 ニュージーランド人はこのキーウィが大好きで、店のロゴマーク等にキーウィが使われていることも多い。郊外には「犬が我々のキーウィを殺す」「どんな犬でもキーウィを殺すことができる」とか、犬や猫、ネズミがキーウィに与える影響を警告する看板も見られる。キーウィというか、鳥全般が好きなのかも。プケコ・ベーカリーとかあったしなあ。
まあ、そんな感じで、のんびり、遅めのゴールデン・ウィークでした。