バイオエタノールと耕作放棄地

いわゆるバイオエタノールっていうやつ。
3月6日8時5分 産経新聞
バイオ燃料“グリーンガソリン”の販売開始へ

新潟県産の飼料米「北陸193号」から製造したバイオエタノールを3%混合した“グリーンガソリン”の販売が18日、JA全農新潟石油基地(聖籠町)供給エリア内にある新潟県内19カ所のJAスタンドでスタートする。コメ原料のバイオ燃料が大量に市販されるのはこれが国内で初めて。世界的にも初めてという。

 長期的に考えると、穀物を原料としたバイオエタノールはエネルギーの主流にはなり得ないだろう。やっぱり主役は太陽光だし、もっと長いスパンで考えたら地熱かもしれない。そもそもバイオエタノールをエネルギー燃料としてうまく利用できるのは穀物自給率が100%を超えているアメリカとかだと思う。ついでに、食糧とのトレードオフ問題もあるし、手放しには喜べない。

 しかし、だ。穀物原料バイオエタノールを日本で生産することには、それなりに意味があると思う。「農地を農地として使い続けておくこと」である。現在、日本の耕作放棄地は40万haくらい(たぶん)。しかも、この20年で2倍以上になっている。正確な数字は検索していただくとして、「農地を農地として使い続けておくこと」とはなにか。

 農地は10年放っておいて、再び使おうと思っても使えるものではない。空地に耕作物を植えても畑になるわけではない。農地の土壌は耕作を通して育てられてきたものである。放っておけば地面は堅くなり、雑草が繁茂し、樹木が侵入する。この状態から作物を再び生産するのは容易なことではない。農地を長期間遊ばせておくと、農産物生産を再び始めるときのコストが大きくなる。

 本来、これらの農地は、日本の食糧自給率の向上に貢献するように使われるのがベスト。しかし、どうも農政がうまくいってないようなので、それだったらバイオエタノールに使われるんでもありだと思う。どちらにせよ、耕作放棄地を放っておくと、食糧自給においてもエネルギー供給においても良いことはない。日本国民が真剣に「食料自給しないとやばいな」と思ったときに、開墾から始めないといけないという状況は想像したくもない。