少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人」(桜庭 一樹)読了。
七竈がたいへん良質な炭になる過程のお話。

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)

少女七竈と七人の可愛そうな大人 (角川文庫)


以下、感想など。ネタばれあり、いや、ほとんどないか。


閉塞感。
恩田陸の小説に似た雰囲気。
あ、関東より北の地方都市つながりというのもある。
女性でない人間としては、感情移入しづらい、というか、フラットな視点で読まざるをえない。
誰に感情移入しやすいか、なんていう心理テストとかもできそうだ。


七竈は「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」少女であるけれども、
扱われるテーマは、実に普遍的なものだ。
むしろ、普遍的なテーマを描くには、特殊な状況を想定するほうが適しているのかも。

「成長」という不可逆的な、しかし不可避で普遍的なテーマを扱った作品は多いけど、
女性、というか少女としての要素が強い「成長」は珍しい。
男の子の「成長」はたかが知れたものだから、軽く異次元の「成長」を垣間見ることになった。

七竈。七竈。竈の中で七日間燃え続けて、よい炭になる。


よかったので、いずれこれも読む。