読書感想文の書き方(書かせ方)

 今週は読書週間らしい。というわけで、短期家庭教師として「読書感想文の書き方」を教えてきた。いや、そんなん習ったことないけど。まあ、こういう無茶振りはけっこうあることなので。重要なのは、生徒自身にどれだけ自力でやらせることができるかだ。
 僕自身のことを少し言っておくと、読書感想文で苦労したことは記憶にない。作文は苦手ではないし、伝えたいことなんかこれっぽちもなくても、文章はひねり出せる(最悪だ)。小学生のころ、「最近楽しかったこと」について作文を書け、という宿題で、延々とブロック崩しについて書いたら、「よく書けています」(苦笑)と先生に言われたことがある。テーマはきちんと選ぼう。
 しかし一方で、多くの小学生・中学生は作文を書くことが苦手だ。今回僕が担当した生徒も例外ではない。もちろん、決め台詞(?)は「なにを書いたらいいかわかりません」。問題に対するとっかかりが何もないのだ。
 ただ、今回は「読書感想文」なので、とっかかりがないわけではない。まず、「どんな話だった」と訊く。もちろん、ちゃんと読んでない可能性もありまくりだけど、そんなの気にしない。ちゃんと読んでいるからといって、書けるものでもない。生徒が話すことで、彼がどこを重視しているかが分かる。もし、あまり重要そうでないところを「あらすじ」に混ぜてきたら、そこはチャンスだ。彼の個性だ。よいものを書くことができる。
 もし、そういったものが見つからなければ、「一番おもしろかったシーンはどこ?」と訊く。「印象に残った」は経験上、あまりよくない。訊き方のバリエーションも広く。「わくわくしたところ」「変だなと思ったところ」「ウザいなと思ったところ」。これで返答率30%くらいだろうか。あとは「別にない」が返ってくる。
 そうなったら仕方ない。無理やりつくる。適当にページを開いて、シーンを切り出し、一緒に読む。んで、主人公かなんかに感情移入して、「○○(生徒の名前)が主人公だったらどうする?」と訊く。最初は皆、主人公と同じ行動をとる、と言うが、こっちが現実よりの質問を続けると、たいてい主人公と一致しないようになる。やや誘導尋問っぽいが、物語の主人公と行動が完全に一致するような人間はいない。小中学生なめんな。
 あとは、ひたすら生徒と物語の違和感・相違点・矛盾点を掘り返す。「おもしろいとこに目をつけたね。どうして?」「どうしてウザいと思った?」「なんで○○はそういう行動をとるの?」など。
 最終的には、この対話をまとめあげることで作文になる。議事録(?)は生徒に書かせ、適宜「→」とか「=」なんかを書き足してやる。ただ、これでは分量が圧倒的に足りないため、自分の体験を混ぜて書くように指示する。体験は書く前に話させる。難易度が、圧倒的に「書く」>>「話す」だからだ。
 松岡正剛ふうに言えば、読書感想文は「編集」なので、「教える」立場としては、編集を手伝ってやればいい。できれば、その方法を教えられれば良いのだけど、いかんせん時間が、ということになる。せいぜい「困ったら、自分が登場人物だったらどうするか考えてみること」なんて言うくらい。難しいものだ。
 1対1だからできるんだけどね。学校の先生は大変だと思う。超おつかれさまです(学校の先生には好まれない表現)。