環境問題はTOCで捉えるとシンプル[The Goal]

「The Goal 企業の究極の目的とは何か」(エリヤフ・ゴールドラット)読了。
問題解決には「型」がある。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

 TOC。僕はTotal Organic Carbonのほうが馴染み深いけど、そういう話じゃない(最悪の書き出し&誰もついてこない)。Theory of Constrains(制約条件理論)のこと。えっと、生産管理の分野になるんだろうか?友人が面白いよ、と言うので。

TOCには5つのステップがある

ググったら、ここが分かりやすかった
TOC(制約条件の理論) - 日建学院
要点だけまとめると、こうなる。

1.制約条件を見つける
2.制約条件を活用する
3.すべてをステップ2に従わせる
4.制約条件の能力を高める
5.ボトルネックが解消したらステップ1へ

環境問題はTOCで捉えるとシンプル

 さて、生産管理など、僕からはかなり遠い分野なのだが、有用な概念が必ずしも近くに転がっているとは限らない。ちょっと自分の近い分野に引っ張ってくると、「環境問題は部分最適の限界が顕在化したものだ」と言えるかもしれない。
 地球で人類が生存しつづける上での制約条件は、もちろんエネルギーだ(ステップ1)。ステップ2「制約条件を活用する」には農工業などの生産技術が関わってくる。最近定着しつつある3R(リデュース・リユース・リサイクル)は、ここのカイゼン策だろう。ステップ3「すべてをステップ2に従わせる」は難しいところ。ここは一番うまくいってないんじゃないかな。これは要するに、資源分配の問題だ。うまくいっていない状態においては「貧困問題」が起きる。新エネルギーの開発はステップ4「制約条件の能力を高める」に相当する。
 この捉え方から分かることは、ボトルネック解消のためには、技術開発や社会システム構築のどちらか一方だけでは、問題は解決できないという非常にまっとうな結論だ。特に目新しい結論が導けたわけではないが、この捉え方はシンプルで理解しやすく、説得力がある。色々な説得の雛型をつくっておくのは便利だ、と最近思う。

本の話もしよう

 ちなみにThe Goalは小説として書かれていて、堅苦しいビジネス書だったりはしない。難点を挙げるとすれば、ストーリーは決して面白くないこと、訳が不自然な箇所がいくつかあること、冗長であることだろうか。TOCを学ぶためと割り切れば、悪くない本だと思う。