ポスト2010年目標はSMARTに。

学部時代の友人が、学生向け生物多様性勉強会を開催するというので、参加してきた。内容はまあ、知っているよ、という感じであったが、行動力がある、というのはすごいことだと思う。

 生物多様性のCOPは、2010年目標が達成できなかったことが大きな問題とされている。「生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という目標は、なぜ問題だったのだろうか?
 これは、目標があいまいだということである。「顕著に」というのはどれくらいのことなのか?気候変動では、very likely = 90%みたいな定義があったはずだけど、生物多様性ではこういったものもない。
 そもそも、生物多様性の損失を定量的に評価できるのだろうか。種数のことなのか?個体数のことなのか?バランスを考えるのか?個体数がヒトケタの種が1種絶滅するのと、希少なキーストーン種の個体数が1/3になるのとでは、まったく意味が違う。不可逆性ということで言えば、前者が重要だけど、対策のプライオリティは後者にある気がする。
 あるいは、生物多様性指数とかを使うのか?それとも、まったく新しい指標を導入するのか?加えて、観測可能性はどうなのだろうか?地球上のすべての場所で生物調査するわけにもいかないだろうし。
 NPONGOは数値目標を、と提言しているし、方向性として正しいと思う。しかし、そういった評価の骨子もできていない状態で、例えば「20%減少させる」といった目標が数値目標としてどれくらい「あいまいでないか」といえば、かなり疑問である。
 でも一方で、こういう意見はアカデミア寄りな気もする。政治の舞台では、そういうことはあまり重要じゃなくて、叩き台となる数字が先にあって、研究の進展と相まって修正されながら政策プランが練られる、みたいなイメージがあるのかなあ、とも思う。だとしたら、それも悪くないんじゃないかな。
 ちなみに、NGOサイドでは、ポスト2010年目標は"SMART"に。ということが言われていて、これが面白い。つまり、
Specific
Measurable
Ambitious
Realistic
Time-bound
だそうだ。いろんな場面で効きそうなフレーズだと思う。あ、環境系の方はAmbitious>>Realisticになりがちなので、気をつけましょう。