地球最期の野良猫

「地球最期の野良猫」(ジョン・ブレイク)読了。
たったひとつの冴えたやりかた」を思い出したが、この子は冴えていない。

地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1)

地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1)

 つくづく思っているのだが、映画のシナリオを書くのと小説を書くのはたぶん違うことである。例えば、「リアル鬼ごっこ」とかは映画のシナリオの類である。もちろん、おもしろいことはおもしろいのであるが、小説には向いていない、ということがある。
 逆に言えば、映像化することで、スピード感や実物のもつ情報量を表現でき、内容に深みが増すように思う。そして、本書もそういったシナリオ向きの話である。
 好みなのかもしれないが、小説として楽しませるのであれば、もっとストーリーに深みを出し、読者を納得させるなにかが必要だ。
 やや酷評になってしまったが、表紙はすばらしい。吉岡愛理という方がイラストを描いているらしく、聖剣伝説ファイナルファンタジーなどでデザインを担当していたそうである。ていうかジェイドはそんな服装で逃亡劇を繰り広げていたのか……もっとカジュアルなイメージだけど。
 なお、SFということで読んだが、そういった要素はほとんどない。「夏への扉」をイメージした方が多いようだが、そんなにSFでないし、僕は「たったひとつの冴えたやりかた」を思い出したが、この子はあまり冴えていない。
※本書は、本が好き!経由で、東京創元社様から献本頂きました。ありがとうございます。