都市河川×急流

神戸は住吉川に行ってまいりました。

 第一印象は、あまり良くない。護岸は三面コンクリート張り時代の名残を引きずっているし、急流ゆえにところどころの落差も大きい。そんな都市河川である。
 急流の都市河川というのはほとんど見たことがなくて、東京の神田川にせよ、名古屋の堀川にせよ、「都市河川=緩い勾配・水質が悪い・人は近づかない」が一般的なイメージだった僕にしてみると、新しい発見が多い。
 お話を伺うと、ランニングロードのように整備されている両岸の道は、六甲ポートアイランドをつくるために山から土砂を運ぶためのダンプカーが通るための道路だったとか。
 関東の都市河川とはだいぶ違う点。なんといっても、水路が接続していない。農地がないので、用水路や排水路というものがない。降雨もあっという間に海に流れ込むので、そのための排水路も皆無だ。
 水質はかなり良いようで、アユものぼるそうだし、カワニナも多い。いや、カワニナ多すぎだな……たぶんホタルの会みたいのがあるらしいので、カワニナ放流してるんじゃないかな?生物系の学識経験者はあまり関わっていないということだろうか。
 川を「利用」している人が多い。「親水」を目標とする人にとってはかなり良い状況に見えるのかもしれない。これはおそらく、「ダンプカーが通るためだった道路」の役割が大きい。道を堤防の上ではなく、川沿いに通すことで、人と川との距離が近くなっているのだろう。
 ただ、本来そのエリアは礫河原となっていたはずの場所。道路を固めないとすると、どうなるだろうか?礫河原は再生されるだろうか?
 おそらく礫河原は再生するが、地域住民はアクセスしにくくなるし、ハリエンジュの幼木もちらほら見かけたから、樹林化も進むことになると予想される。自然再生は必ずしも可逆的には進まないだろう。
 堰を撤去すれば自然が元の状態に戻る、というような発想は比較的おめでたいのだな、と最近思うようになった。もちろん、十分な時間があることと、周囲に住民が住んでいないことを仮定すれば、それも可能なのだろうが、あまりにも非現実的である。