戦闘技術の歴史

「戦闘技術の歴史3近世編」(クリステル・ヨルゲンセンほか)読了。
この本には、あの「長篠の戦い」がたくさん詰まっている。

戦闘技術の歴史3 近世編

戦闘技術の歴史3 近世編

 戦争の技術はどのように移り変わってきたのか?大航海時代が始まり、帝国主義の土台を築くこととなった近世(1500-1763)においては、これまでの重騎兵中心の戦闘から、常備軍による小銃射撃の戦闘が中心となった。あ、もちろん「ヨーロッパの」戦闘技術なので。

 しかし、なんといっても、この時代の「英雄」はグスタフ・アドルフである。僕はこの分野はまったくの素人で、世界史なんかもちゃんとやっていないから、彼の名前は初めて聞いたのだが、スウェーデンでは今でも英雄扱いだとか。

 グスタフ・アドルフは、王でありながら、「兵士に高給を与え、土地を与え、免税措置を施す」など常備軍の強化に努めるだけでなく、自ら戦場に赴いた。歩兵と砲兵が中心のオランダ式・スペイン式に代わり、歩兵・砲兵にうまく騎兵をバランスさせたスウェーデン式は多くの勝利を収めたということだ。こういったかたちで王が戦争に関わるのは、この時代が最後だろう。

 本書の感動をわかりやすく伝えるなら、日本史で「長篠の戦い」を習ったときのことを思い出すとよい。信長軍が採用した戦術は、火縄銃を持った兵を3列で配置し、火縄銃の弱点を克服し、騎馬隊を退けるというものであった。シンプルだが、極めて効果的。小学5年生の僕は、目を輝かせて歴史資料集を眺めていた。戦国時代より江戸時代のほうが好きな僕でさえ、そのストーリーは強く印象に残っている。この本には、あの「長篠の戦い」がたくさん詰まっている。

※本書は、本が好き!経由で、創元社様から献本頂きました。ありがとうございます。