コンサル就活対策−エントリーシート編

　まずは、エントリーシート。ただ、実際のところ、それなりの学歴があると、滅多なことでは落ちないようだ。それなりの学歴がない場合にどうなるか、というのはサンプル数が極めて少ないのでわからない。それなりの学歴があっても落ちるのはマッキンゼーくらいだろうか。観測範囲が狭いので確かな情報ではない。念のため。

なぜESを重視しないのか？

　そもそも選考過程にESがある理由は、選考にかかるコストを下げるためだ。いちいち志望者全員と面接していてはヒト・モノ・カネの消費量が大きすぎる。ESでの選考も同様である。いちいち全ての文章を熟考していては、コストが掛かりすぎる。
　コンサルタントとして必要な「勉強力」は、受験勉強を通して身につくことが一般的である。勉強力とは、ある期間に集中し、成果につながるような勉強をすることのできる能力である。「新卒は専門的な知識を持つ必要はない」と言われるのもこのためだ。勉強力（と体力）があれば、いくらでも追いつくことができる。
　そうした勉強力を養う経験は、普通、受験勉強しかない。もちろん、大学時代に大量の勉強をする人もいるが、それはごく一握りの話であり、多くの志願者から絞り込む、というレイヤーではかなり効率が悪い。学歴がある、ということは受験勉強が成果につながったということであり、コンサル的な成果主義とも一致する。
　もちろん、学歴で切った人のなかには「切るべきでなかった」人も含まれるだろう。しかし、

パズルが解けなくて不必要にはねられる志望者の中にも、有能な人はいるものと思ったほうがいいだろう。忘れてはならないのは、不適当な人を採用するのを避けるためには、いい人を失うのもしかたないというのが基本方針だったことだ。

とは「ビル・ゲイツの面接試験」にある一節である。太字は僕。リスクを最小にするため、安全側で採用すれば、採用試験は自ずとそういうスタイルとなる。
　さて、これでは対策というか、学歴あれば通るし、そうでない人は通りにくい、というだけの話になってしまうので、ちゃんと対策も考えよう。

論理的思考力が問われる

　コンサルタントとして必要な能力は、「物事を誤解なく相手に伝える」能力。こういうふうに書くと、コミュニケーション能力が大切なのでは、とか、アカウンタビリティが大切だ、とか、そういった話になりがちだけど、「伝える」ための基礎となるのは論理的思考力である。
　熱意を伝えるとか、本気を見せるといったことが重要な局面は確かにあるが、ある程度同じバックグラウンドを持った人同士でないと通じないことが多いし、なにより異なる意見を持った他人を説得するためには確かな方法ではない。論理的であることが、唯一確実な説得手段である。
　もちろん、「世の中を動かしているのはそういったものではない」といった意見はあるだろうが、それは論理的思考力があって、その上に築かれるものと考えられる。型があってこそ、型を破ることに意味がある、という考えに近い。さらに言えば、「世の中を動かしているそういったものではないなにか」を持っているのなら、普段からそんな物騒なものを振り回すより、平時は論理的思考力で切り抜けておいて、いざというときに、その「なにか」を使うほうが際立って良いのではないか？
　まあ、そういう訳で、ロジカルシンキングが大切なわけである。ESを書く上でも、「なぜそう考えるのか？」「なぜそのような行動を取ったのか？」「ほかの選択肢ではなくなぜそれを選択したのか？」といったあたりに留意すべき。

　対策とか書いておいて、対策ぜんぜん書いてないじゃん、と思われるかもしれないが、なにが必要なのか、は書いたつもりである。正直、小手先のテクニックはいくらでも氾濫している。ただ、なぜそれらが必要なのか、という納得を得るまでに一番時間がかかったので、そこのところの、最もクリティカルな部分を文章化してみた。「結論は一番最初に書く」とか「目標を設定し、そのプロセスを記述する」とか、そういった情報は本でもWEBでも、あまり苦労せず手に入れることができる。