嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん終わりの終わりは始まり

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん<10>終わりの終わりは始まり」(入間人間)読了。
嘘つきさんのお話、ついに完結。

 まあ、正直なところ惰性で読んだ感はあるが、ストーリーが終結したところに少し安堵感を覚える。やっぱり、最後の事件はこれまでの事件とは違った。これまでは、まーちゃんがピンチになって、みーくんが助けに行くという、ヒロイズム型のストーリーだった。それは、どこか達観した主人公が「しょうがないな」と言って重い腰を上げ、鮮やかに問題を解決するという、ライトノベル型の、僕らの「こうだったらいいな」という願望とも欲望ともつかないようなものが具現化したお話である。学校にテロリストが入ってきて、自分がそいつらを倒す、っていう妄想、授業中にしたよね?え?してない?
 ともあれ、今回はそのパターンに当てはまらない。そういった意味で特異点であり、最終巻と成り得る。ストーリーは現実的じゃないけど、構図としてはこちらのほうが現実的だ。ネタばれであるが、まーちゃんは最後に主人公を選ぶが、彼女ににとっては「どちらでもよかった」可能性はある。で、2人のみーくんが、どちらが本当の「みーくん」になれるか争う、という構図になるわけだ。嘘が現実を超越する、というのは、最近のサブカルの流行りなのかもね。
 みーまーシリーズをどこまで読むべきか、と聞かれると、正直なところ、2巻まで、ということになりそうである。2巻まではびっくりするくらい面白い。それでもまだ読み足りないと思ったら、6巻まで。3巻から先は、ミステリ色が強くなり、ラブコメのテンションに着いていけるならいいかもしれない(中級者向け)。その先も読むのだ、という上級者の方は群像劇、あるいはキャラ小説っぽくなっていくところ、カタルシスをあまり求めないように注意したほうがいいかもしれない。