涼宮ハルヒの驚愕
「涼宮ハルヒの驚愕」(谷川流)読了。
相変わらずの、ぶれないキョン君。
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き) (角川スニーカー文庫)
- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: ペーパーバック
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やっぱり、キョンというキャラクタの魅力は、自身の無力さに押しつぶされることなく、自らのやるべきことを見出し、実行に移していける強さなんだな、と思う。自分にとって、なにが大切かがわかっているからこそできること。
社会の風潮としては、なにが大切かを見出せないんじゃないのか、むしろ見出す必要があるのか、というようなことになってきているなかで、逆にそれを見出した人間は強くあることができる。そういうことかもしれない。
ただ、そういうことで言うと、もっと絶望的な状況になってもよかったのかな、とも思う。緊迫感のある状況にはなっていたが、絶望的ではない。昔から物語の典型であるが、絶望的な状況に置かれれば、キャラクタの本質がより強く発露する、というスキームである。
もしかすると、そういうスキームのリアリティがどんどんなくなってるんじゃないか?という気がする。絶望を描くことは、現代の人間にとってあまりリアルでない。だから、そういう書き方をすると響かない。むしろ、得体のしれない不安感。皆たぶん大丈夫だろうな、とは思っているが、少しずつ違和感を感じ始め、それがいつしか大きなうねりとなっているほうが、リアリティがある。それゆえの、「涼宮ハルヒの憂鬱」ということだ。