プロ論。−情熱探訪編

「プロ論。−情熱探訪編」(B-ing編集部編)読了。
「プロとしてどうあるべきか」を読み換えると……?

プロ論。―情熱探訪編 (徳間文庫)

プロ論。―情熱探訪編 (徳間文庫)

 8月に入って、ちょっとモチベーションが下がってるなーと思って手にとった。リスクをとって挑戦したい、と思うときと、穏やかな時間を過ごしたい、と感じる時期には波があって、それはそれでいいんだけど、この波をうまく繋いでいくには、思考と感情の流れを整流する必要がある。そのふたつのパターンの境界くらいのところで、自己啓発本みたいのって結構お役立ちな気がするわけだ。
 そんな感じで今回手にとったのが「プロ論」。僕の周りでは社会人になる1〜2年前の「意識の高い学生」が好んで読む、という印象。以前に企業の説明会に行ったら、その企業の話ではなく、「プロフェッショナルとしてどのようにあるべきか」の話だけで終わったときはびっくりしたが、プロ論face to faceみたいな企画があったら面白いんじゃないか。
 あ、中身中身。各界の「成功者」が「プロとしてどうあるべきか」ということについて、若者に伝える。というスタイルをとっている。所ジョージカルロス・ゴーン三木谷浩史香山リカ乙武洋匡などなど。
 「世界とどう向き合うべきか?」というタイプと「自分の人生をどう生きるか?」というタイプがいるな、と思って。やっぱりビジネス畑の人は、「プロとしてどうあるべきか」=「世界とどう向き合うべきか?」と読み換える人が多い。松本大は「自分のポジションを認識する座標軸をつくれ」と。自分の立ち位置を明確にすれば向かうべき道が定まるんだ、と言う。ポジションっていうのは世界と自分との関係で決まるわけで、これは時代が変われば自分の為すべきことも変わってくるわけだ。
 これに対して、芸能の人になると、「プロとしてどうあるべきか」=「自分の人生をどう生きるべきか?」と読み換えてくる。つまり彼らは自分の好きなこと、肌に合うことをその場その場の感覚で選んで、つくりあげている。高橋克実は「不安も迷いも物欲もない。先のことなんて、ぜんぜん考えていなかった」と語る。でも「演じる」ことが好きで、演じ続けていたら、たまたま世間の目にとまったのだと。
 まあ、そりゃそうかもね、と思うんだけど、今オモシロイのは、それぞれの属性とモチベーションが入れ代わっている人達。芸能人なのに、しっかり「ビジネスだ」と言う人。経営者なのに、その場の感覚を受け止めて行動する人。そういう人は魅力的だと思う。
 どうあるべきか?で駆動する人間のなかに、その場の感覚で動く人間がいたら、その集団からは異なる価値観が生まれる。そういう特異点のような人間になりたい、というふうに思うのであった。
 ふつう、「プロとしてどうあるべきか」は1人のテツガクを延々と聞かされるわけで、そうすると「そうかもな」なんて感化されてしまうんだけど、50人近くのプロ論を聞かされるとこういう感想も持てるというもの。あ、あと、これだけいて、政治家・官僚、すっごい少ないなって。