目薬αで殺菌します

目薬αで殺菌します」(森博嗣)読了。
Gシリーズ7作目。以下、ネタバレあります。αのラベルがついた目薬に、劇薬が混入されている事件が起こるお話。もちろんそこには真賀田四季の影が。

個別の事件には興味がなく、四季の行動を追うだけの考察

 そうか、加部谷さんは海月だったのか…かわいいなあ。というのは置いといて、αの事件が「テスタのようなもの」、つまりなんらかの組織が、個人に対して確実に命令を伝達し実行されるかの試験だった、という解釈はまあ、そうだろう、と。同じ結論に達していた。
 ただ、計画実行の時間スパンが極めて長い理由が、「寿命の問題が解決されている」というのは、そうか?と思う。今のところ2通りの解釈があって、ひとつは、四季の思考というか個人をアンドロイドみたいななものにコピー(コピィ、ですかね笑)できる目処が立っている、あるいはすでにしている。このアイデアは、要するに百年シリーズへつなげますよ、というとこから簡単に想像できる。
 もうひとつは、四季の思考and/or個人を、ほかの人間の中にほぼ完全に再現できる、なんらかの方法をつくり出すことができるようになった。これは今回の叙述トリック?、倉居が矢場の人格を自分の中に再現していたところから想起したもの。もともと、人格をほぼ完全に再現できる、というアイデアは森ミステリでは以前からあって、四季シリーズの冬、とかかなあ?ざっくり言えば、○○さんだったらこういうふうに行動するだろう、という思考の究極形というか。
 最初は矢場が真賀田四季で、倉居をそういう実験に利用したのかな、と思ったけど、四季だったら確か、名前にヒントを残しておくような気がするので、どうやら違うらしい。この線が正しくても、せいぜい矢場は、四季の組織?の一員とか、そういうレベルだろう。

Gシリーズは文庫→ノベルスに切り替え

 えっと、ここからどう読み進めるか。今まで文庫で読んできて、これからもそのつもりでいたんだけれど、文庫だとどうも次作のジグβまでかなり待つみたいなんだよね。目薬αのノベルス版が出たのが2008年9月で、文庫版が出たのが2012年12月だから、同じペースだとして、ジグβの文庫版は2017年2月……長い。手持ちのクレジットカードの有効期限がいくつも切れてしまうくらい長い。
 もともと、森博嗣が「次回作をどんどん先に伸ばすかも。その理由があります」的な発言を、ノベルス版・文庫版・電子書籍版を同時に発売するためではないか、と勝手に推測していたのだけれど、特にそんなことはなかったでござる。
 ということで、ここからノベルスに切り替えて読もうと思う。そうすると、すぐにジグβが読めて、その次が今年の秋頃読めるはず(森博嗣のサイトの予定表参照)。いずれは電子書籍もありかな。文庫版を揃えたいと思ったら、完結してから集めても良いし。大学生の頃と比べると経済状況がかなり変わったというのはあるな。時間の流れを感じる。