コンクリート工学の参考書

三力の参考書シリーズ特別編。コンクリート工学の参考書を紹介。

コンクリート工学とは

 社会を大きく塗り替えた材料、コンクリートに関する工学。コンクリート工学と一口に言っても内容は幅広い。非線形な構造解析を行う「構造系」、コンクリートの原料や配合などに関する「材料系」、コンクリートの性能を判断したりする「性能・照査・設計」などいろいろなジャンルを含む。一筋縄ではいかない分野であり、そこがやっかいで、面白い(人によっては)。

参考書

絵とき コンクリート

絵とき コンクリート

 黄色いカバーの絵ときシリーズ。難易度は比較的易しい。内容は材料・性能・試験・配合設計などが中心で、構造系はほとんどない。ただ、構造計算用の絵ときシリーズは別にあって→絵とき鉄筋コンクリートの設計、こっちを参考にするとよい。やはり公務員試験向きか。
コンクリート構造物の力学―解析から維持管理まで

コンクリート構造物の力学―解析から維持管理まで

 個人的にこれは大好き。アピールポイントは薄いことと、カラー写真があること、構造系もカバーしていること、の3点。絵ときシリーズを別にすると、たいてい200〜250ページくらいなんだけど、本書は180ページくらいしかない。薄い参考書はやる気が出る。次に、変形やひび割れなどついて詳しく述べられていて、カラー写真の効果で理解度はかなり良くなる。そして、この薄さにも関わらず、構造計算の基本を押さえているところもうれしい。
最新 コンクリート工学(第5版)

最新 コンクリート工学(第5版)

 僕が材料系の主力として使っていたもの。小林一輔は名著「コンクリートの文明誌」の著者でもある。材料・性質・施工・配合設計などに重点を置いた教科書的存在。1975年から5回も改訂を重ねているところから、タイトルに冠した「最新」が決して飾りでなく、本書が広く使われていることが分かる。コンクリート系の資格試験にも向いているらしい。
鉄筋コンクリート工学

鉄筋コンクリート工学

 僕が構造系の主力として使っていたもの。意図のはっきりした演習問題と、詳しすぎるほどの解説がついているので、これを通してやると、基本的な構造計算に自信が持てるようになる。コンクリート構造学 第4版 (基礎土木工学シリーズ6)も悪くないけど、こっちのほうがシンプルで理解しやすいと思う。大学院入試に向いていると思う。たぶん、本書なしでは僕はコンクリート工学がほとんど理解できなかったと思う。
コンクリート構造

コンクリート構造

 黄金の表紙を持つ構造系参考書。鬼のように難しい。初学者向けではないのかもしれない。専門にするならいいかもしれないけど、ちょっと僕の手には負えない感じだった。演習問題はついておらず、ひたすらハイレベルな話が展開される。本気で取り組んだら、きっと面白いはず。

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