烏山頭水庫

海外の構造物を初めて選定、2009年度の選奨土木遺産
 え、海外もいいんだ。と思ったら、八田與一wikipedia:八田與一)の烏山頭水庫か。個人的には、セミ・ハイドロリックフィル工法という土砂が貯まりにくい工法が採用されてるらしいので、その辺に興味があるかも。
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 ふと、思ったのだけど。昔の土木技術者は「なにか大きい事業をしてやろう」という意気込みがあったのだと思う。でも、いま土木技術を学んでいる僕らは、誰もそんなことを考えていない。「大きい事業」はもう必要ないし、大きいことがしたいなら違う道を選ぶ。
 これからの若手技術者が保守・管理する対象は、自分たちと異なる思いで造られたものなわけで。だから何ってわけじゃないけど、時代や思想に距離のある技術を扱うっていうのは、理系では珍しいことだと思う。
 技術的な視点から見れば、扱う対象はどんどん新しいものに変わっていかなければならない。ダイヤルアップの接続音を聞くことはもうないし、レーザディスクで音楽を聴く人は特殊な人種になった。一方、土木技術はサイクルが長い。捉えようによっては、土木構造物はあたかも「自然」のように見える。
 自然を美しいと思うことと、土木構造物を美しいと思うことは比較的近い*1。今は移行期。土木構造物を「新しいもの」として見てきた人々が、まだたくさんいる。しかしやがて、土木構造物は「昔からあったもの」と見なす人々がマジョリティになる。土木構造物を見るとき、「高層ビルを見る」ようにというよりは、「遺跡を見る」ような意見が多数派になっていく、ということだ*2

*1:自然と人工を対立させて考えるような、一神教的な考え方だと違うと思うけど

*2:もちろん、100年オーダーでの景観に沿った管理が前提になる