ウォーターハンマー

 ようやく、大学で「カーン、カーン」という音が聞こえ始めてきた。これはいまだに蒸気式のストーブを使っているせいで、スチームハンマーが起こっているせいだ。早く買い替えようよ……
 スチームハンマーというのは、水理学流体力学で言うところのウォーターハンマーの一種。水道管から水を勢いよく出しておいて、急に閉めると、「ガコン」みたいな音がする。これがウォーターハンマー。水は圧縮されない流体とみなせるので、出口を閉ざすと管路内の圧力が急激に高まる。同時に逆流が始まって、管路内で衝撃波として音が発生する。とまあ、そんな感じの現象。
 実は、知り合いの卒論がウォーターハンマー関連なので、お相伴にあずかり(?)、そのプロングラミングしてみた。個人的には、開いてる水路(開水路)には興味があるけど、閉じている水路(管水路)にはそんなに興味がないのだけど。これが、意外と簡単で、開水路の流量計算するよりも楽だった。
 Characteristic Methodという方法で計算したのだけれど、計算過程が開水路と違って直線的になるので、計算がかなり楽。断面が一定だから、ということでいいのかな?開水路の差分計算と違って振動しないし、うれしいことばかりだ。
 開水路計算の対象が自然物であるのに対し、管水路計算の対象は人工物。自然をモデル化することは、人よってデザインされたものをモデル化するのに比べて、とても難しい。これは、ほかの人や本からの知識としてはさんざん聞いてきたことだが、自分でやってみると、その実感はさらに確固たるものになる。
 こういう実感は、素直にうれしいものだ。しかし、もっと気分が高揚するのは、これまで目にしてきた/耳にしてきたこととほんの少しずれていて、違和感を感じるとき。もちろん、その9割以上は単に自分の思い違いなのだが、1割に満たないなにかを見つけたときは、感動すら覚える。たとえ、何の意味もなかったとしても。