新訳!種の起源!(下巻)

種の起源 下」(チャールズ・ダーウィン)読了。
下巻待ってました!

種の起源〈下〉 (光文社古典新訳文庫)

種の起源〈下〉 (光文社古典新訳文庫)

目次
第8章 雑種形成
第9章 地質学的証拠の不完全さについて
第10章 生物の地質学的変遷について
第11章 地理的分布
第12章 地理的分布承前
第13章 生物相互の類縁性、形態学、発生学、痕跡器官
第14章 要約と結論

 「種の起源」出版から150年という節目の年は逃してしまったが、ようやく読むことができた。
 上巻を読んだときも思ったけど、やはり未読である気がしない。ダーウィンの考えていたことは、様々な本、文章、発言などにかたちを変えて、僕まで届いている。
 種は明確に定義できないことや、幼生が能動的な胚であることなどは、自分で気がついたような気もするが、これだけダーウィンの遺したミームが氾濫する世界にいるのだから、なにかを読んでから気がついたのかもしれない。
 ひとつ思うのは、150年前に「種の起源」を読んだら果たして理解できていたか?ということだ。現代にはダーウィンの思想を咀嚼して平易に説明してくれている本がたくさんあるし、多くの考え方が進化論をベースにしている。こういう時代に読むから理解できるのであって、150年前に読んでいたら、理解できていたか疑わしい。
 やっぱり、高校レベルの生物学を勉強してから読むと、内容がすっきり理解できるのだと思う。そのかわりびっくりするところは減ってしまうけど。
 ああ、そうだ。高校の生物×進化論と言えば、ガラパゴスフィンチだね。本書にはフィンチは出てこない。解説によると、

現在はダーウィンフィンチ類と呼ばれている小鳥たちがきわめて近縁で、もとは南アメリカ大陸から渡ってきた一種を共通の祖先として、ガラパゴスで多様化したグループだとは、持ち帰った標本を調べた鳥類学者に指摘されるまで、気づいていなかった。

ということらしい。あれ?もしかしてこの鳥類学者ってジョン・グールド?ともあれ、偉人は間違ったエピソードがつきものということだろうか。実際にあったエピソードよりも、その人物に「物語」として結びつけやすいエピソードが、淘汰されずに受け継がれていくようだ。
 そういう、「後になってつくられた物語」ではなく、本人がどういうふうに考え、それを発信していたか、ということがわかるのが科学の古典を読むときの醍醐味であると思う。

関連:新訳!種の起源!(上巻) - けれっぷ彗星