それ、僕が前回言った意見だよね。

 最近、研究関係の話し合いで、「それ、僕が前回言った意見だよね」的なシチュエーションに出くわした。今までそういう機会はなかったので新鮮だったが、まったく同じ意見だったので、意見に対する所有欲というか、そういった類の感情が持ち上がってくることになった。
 そのときはなにも言わなかったが、よく考えて見れば、これは僕のつくった意見というかミームが多くの人に伝わっていく状況なわけで、むしろ望ましい状況なはずである。
 これに対して、僕の「それ、僕が前回言った意見だよね」的な感情リアクションは、そういう考えに則っていない、ということになる。
 なんでかな、と考えると、たぶん前回の僕の発言は、対象を向上させるための、あるいは問題解決のための発言じゃなくて、自分の立場を向上させるための発言だったから、ということになりそうだ。
 もちろん、その意見が問題解決に寄与することはだいたい間違いないんだけど、深層的な目的が、自分の立場を上げるためだったから、自分の意見が「盗られた」ように感じたのだろう、と自己分析できる。
 自分が、他人の意見を言うときにはわりと気をつけているつもりで、「まえに〇〇さんも言っていたけど」というエクスキューズを入れていたりするけど、たぶん限界があるだろう。既に出た意見をすべて覚えているわけでもなく、自分の思考とごっちゃになってしまうのだから。
 どうすればいいのかはよくわからないけど、全員が基本的に意見のパクリは問題ない、というオープンなスタンスに立つことが重要だと思う。根拠としては、意見そのものよりも、その意見を、その文脈で出したことが重要なのだ、というところになるだろうか。