家族の強さを感じた日のこと

 祖父が肺癌であるとのことだ。家族会議を開く。祖父母と両親、叔父と叔母が揃い、そこになぜか僕。いや、なぜかということはないのだが、事実上の長男扱いということだろうか。
 皆、とても冷静だ。たまにヒステリックになる母も、取り乱すことの多い叔母も、声を荒らげたりすることはない。経営者然とした叔父が議論を進め、父が要所要所で丁寧な発言する。祖母は伝統的な伴侶としての役割を演じている。
 正直に言って、バランスのとれた、安定したかたちを取っている。混乱が起きないのは、あらかじめ前情報があったせいか、それとも、こういったかたちが一般的で、混乱するものだというステレオタイプをどこかから植えつけられたからだろうか。ともあれ、恵まれた家庭に育ったものである。
 祖父は明日にも入院することになるそうだ。1度くらいはお見舞いに行かなくては、と思う。
 共同体の最小単位、家族というものの強度については、いままで実感がなかったが、今回のことでようやく腑に落ちた気がする。一方で、そのような機会のない人は、どうやって腑に落とすのかな、とも思った。自分が、いかに家族の「上辺」しか見ていなかったか、ということも。