公共土木事業全廃でCO2はどれくらい削減できるのか?

温暖化ガス25%(90年度比)削減のポイントを説明するよ - シートン俗物記
これを読んで。
公共土木事業全廃がありえないのは置いといて、もしやったらCO2どれくらい減るんだろう?土木事業とCO2排出量の関連性はどれくらいなのか。興味のあるところではある。というわけで、ざっくり考えてみる。

とりあえず、大きいところは

  • セメント業(全排出量中約4.4%)
  • 鉄鋼業(産業部門中約41%)
  • 土木工事そのもの



セメント業

前提:全排出量の約4.4%がセメント業由来
そもそもセメントによるCO2排出には、
プロセス起源・・・すごーく単純に書くとセメント生成の過程はCaCO3→CaO+CO2なので、ここからCO2が発生する。
エネルギー起源・・・もちろん、生成するためのエネルギー消費にもCO2排出が生じる。
の2つがある。
エネルギー消費、CO2排出の状況 - 社団法人セメント協会
によると、1990年のCO2排出量が両起源あわせて4400万t、2007年では3200万t。へー、減ってるんだね。で、このうち土木事業にどれくらい使われているか分からなかったので、
生コンクリート製造業の概要 - 全国生コンクリート工業連合会
を見ると、2007年のデータでは生コンクリート出荷量の約36.7%が土木事業向けらしい。ので、セメントには全部生コンクリートになってもらうとすれば、全廃時に削減できるCO2は90年比で、
0.044×3200×0.367÷4400=0.0117
で、1.17%くらい。
もしかしたらエネルギー起源は4.4%に含まれないかもしれないけど、大勢に影響はないと思う。


鉄鋼業

前提:産業部門(全排出量中約46%)中の約41%が鉄鋼業由来
鉄鋼生産高推移 - 社団法人日本鉄源協会
によると、1990年の鉄鋼生産高は80918千t、2007年は87867千tらしい。こっちは増えてる。このうち土木にどれくらい使われるのかな?
受注統計/時系列 - 社団法人日本鉄鋼連盟
より、2007年の土木に利用された鉄鋼は3113千tくらい。え、少ない!自動車とか船舶のほうが多いんだ。意外だった。ので、全廃時に削減できるCO2は90年比で、
0.46×0.41×3113÷80918=0.00726
0.73%くらい。


工事そのもの

これは、よくわかんないんだよね。検索したら、
建築工事及び土木工事におけるCO2排出量の地域特性に関する研究(PDF)
というのが引っ掛かって、この記述を信頼すれば、9900万tCO2ということだ。1990年の国内CO2排出量は約1143百万tだから、
9.9÷1143=0.00866
ということで、全廃時に削減できるCO2は90年比で0.87%くらい。


まとめ

全部合わせると、
1.17%+0.73%+0.87%=2.77%
全廃時に、2.77%。
まあ、なんだかんだで3%くらいは減るんじゃないかな。これが多いのか少ないのかはよく分からないけど。あと、1990〜2007年の事業規模縮小に伴う削減量は、この概算とは別にあるので、土木事業としての削減量はもう少し多いかも。とりあえず、土木事業と鉄鋼業の関連性は比較的低い、ということは勉強になった。あまり概算が得意ではないので、ちゃんちゃらおかしいところがあったら指摘してください。