多自然川づくりを「見る」

多摩川の支流のひとつ、平井川に行ってきた。
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あれ?
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?・・・!!
 どうやら、下流から上流に遡ると、河川改修のやり方が異なる。これはおそらく、多自然型川づくりと多自然川づくりの違いだ。
 多自然川づくりというのは、1991年に通達された「川づくりにも自然の多様性を取り入れましょう」という河川事業の一要素である。ちなみに、「多自然」の「多」は「多様性」の「多」で、自然が多い、という意味ではない*1
 一方、多自然川づくりというのは、多自然型川づくりの「失敗」を踏まえて、2005年につくられた河川事業の一要素である。
 「失敗」は、河川における自然のメカニズムがよくわかっていないことによる。例えば、魚巣ブロックを入れたが、そこには砂が貯まり、州が広がってしまった、というような。
 「多自然川づくり基本指針」の策定についてにあるように、「川づくりにあたっては、単に自然のものや自然に近いものを多く寄せ集めるのではなく、可能な限り自然の特性やメカニズムを活用する」のでなければならない。これが、多自然河川工法である。
 さて、現地の話に戻ると、この河川改修の経年変化は、下流から上流へ遡ることで理解できる。河川改修は下流から行われるからだ。
 下流では「もしかしたら環境に配慮したのかも?」的なもの(環境保全型ブロックっていうのかな、穴が空いてるブロックとか)がいくつかあっただけだったのに対し、上流では、「これはワンドつくったんだな」「機能しそうな魚巣ブロックがある」*2みたいな評価がちゃんとできる。
 特に、上下流で河川改修の方法に違いがあるのが問題だ、とか言いたいわけではなく、単に、下流から上流をみていくと、河川改修と時代背景の関係がわかるなーと思っただけ。あるべき論に到達するためには、もっと「歴史」を知る必要があるかもしれない。

*1:参考→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E8%87%AA%E7%84%B6%E5%9E%8B%E5%B7%9D%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A

*2:まあ、そもそも魚巣ブロックが効果的なのかどうかは議論の余地ありだけど。