シンガポーリアンと聞き手の属性

 シンガポールの大学生が100人くらいやってきた。どういう背景なのかわからないが、僕らはポスター発表をさせられる。急造ででっちあげた研究発表なので、写真がペタペタ貼りつけてあるだけ。

 プレゼンを作るときにまず思うのは、どういう人がオーディエンスになるのか?ということ。河川工学を専門とする人がくるのか、もう少し広げて土木工学を専門とする人がくるのか、それともただの大学生なのか、あるいは市民なのか、とか。
 聞き手がどういう属性なのかがわからないと、プレゼン資料がつくれない。もちろん、資料なしで喋るならいいが、そういう機会はまずないし、難易度がかなり高い。簡単な概念ひとつ説明するにも専門or notでぜんぜん違う。用語、時間、伝え方などなど。
 やっぱり、というべきか、留学生の研究員の方は、学会で発表するような内容を学部生相手にしゃべっていた。真面目そうな学生たちだからよかったけど、理解できるんだろうか……?僕も難しいかも。
 そういうことだから、プレゼンを頼まれると、まず「どういう人がくるのか?」ということを一番最初に尋ねる。だけど、結構みんなわかっていないことが多くて、「いや、どういう人だろうね?」みたいになる。うんまあ、どこから降ってきたのかよくわからない仕事が回ってくるんだろうな。わかるわかる。客層がまったくわかっていないときのプレゼンづくりの手法、みたいのを考える必要があるかもね。
 ひとつは、双方向でプレゼンするという方向性がある。や、ふつうのプレゼンでも双方向コミュニケーションのほうがいいんだけど、聞き手のフィードバックを受けて内容を変えるのは、それなりにコンテンツの蓄積と、いろんな聞き手のことを想像することが必要。資料づくりが難しいのが欠点か。
 あとは、理解度が最も低い層に合わせるという方法がある。そしたら、理解度の高い層のアテンションをどうやって集めるのか、という問題がある。理解度の高い層になにを与えることができるのか?ということだ。理解度の高さ≠意識の高さだから、「理解度の低い層にどう伝えるか」を学んでもらう、とかいうのは受け身過ぎるだろう。なんだろう、あるあるネタを仕込むとか、トリビアみたいのを散りばめるとかしか思いつかないな。
 最後は、アジテーションして議論を活発化させるという手法。シンプルな問いは、理解度の低い層には「一般的にどういうことが言われているか」を伝えることができるし、理解度の高い層にはアタリマエだと思っていた問題の本質を再考させることができる。こんなところか。