ベルマウス
アクセス解析によると、なぜか「ベルマウス」で検索してくる人が多い。でも、あのエントリーを読んでもなにも得るものはないので、ちょっと申し訳ないなーと思った。というわけで、ベルマウスについてまともな解説を。ちなみに、水理学の話なので、他分野では少し扱いが違うこともあるのかも。
管水路(パイプライン)を水が流れると、色々な箇所でエネルギーが失われる。例えば、管が急に拡大するところ、急に縮小するところ、曲がるところ、弁があるところ、などなど。もちろん、管そのものの摩擦によってもエネルギーは失われる。
そういった箇所のひとつに、流入口が挙げられる。水槽にパイプがつながった状態を想像してもらうといい。ここでのエネルギー損失は
で与えられる。heが損失水頭、vが流速、gが重力加速度。で、feが流入損失係数というやつなんだけど、これが、流入口の形状によって異なるわけだ。90度の角端ならfe=0.5、隅を切っておくとfe=0.25、丸めておくとfe=0.1から0.2くらい。そして、さらに丸めて、流れが滑らかに管に流入するような形にすると、fe=0.01から0.05程度になる。これがベルマウス型だ。ベルマウスはほとんど剥離が生じないような極めて滑らかな曲面で、水頭損失はほとんど摩擦損失のみ。
流出口での損失は、形にほとんど依存しないけど、流入口はその形によってエネルギー損失が大きく変化する。ざっくり言うと、ベルマウスは、滑らかに水を流すためには良い形だ、っていうこと。ちなみに名前の由来は、ベル(鐘)の口(マウス)のような形だかららしい。
参考:
- 作者: 日野幹雄
- 出版社/メーカー: 丸善出版
- 発売日: 1983/01/01
- メディア: 単行本
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