水理学の参考書

 三力の参考書シリーズ。水理学の参考書を紹介してみる。だいたい下に行くにつれて難しくなる。

水理学とは

 水の流れを取り扱う力学。もとは河川工学から生まれた経験則の集大成だったけど、その後、流体力学を取り込み、理論化が進んだみたい。で、この流体力学と絡んでるあたりが難しい。いや、工学部の方はそうでもないのかな?まあ、どこが難しいかは人によるので、学んでいるうちに分かるよね。あと、環境工学や都市工学とのかかわりはけっこう深いと思う。

参考書

絵とき 水理学

絵とき 水理学

 黄色いカバーの絵解き水理学。計算練習や、公式を覚えるのには向いてる。公務員対策なら、これで十分だと思う。積分にはできる限り触れたくない方にもお勧め。ただし、理論的な説明は少ない。あと、計算ミス・語表記が多い。問題の解答がたまに間違ってる*1。挿絵は必見、というか、極めてシュール。一押しは台形断面が無言なところかな*2
水理学

水理学


 初学者なら、朝倉の水理学。コラムはもちろん記述全般が、とても興味を喚起されるような書き方をされているので、やる気が出る。説明も詳しく、問題・解説もついてる。特に、問題解説の詳しさではトップクラス。いや、トップと言ってもたぶん大丈夫。基礎的な範囲はほとんどすべて網羅している。少しマジメに勉強したい人にはこれを全力でオススメ。悪い点は、表紙が固くない(ソフトカバーっていうの?)ことと、値段が少し高いこと。値段については、中古なら心配ないか。
明解水理学

明解水理学

 僕が主力で使ってたのは冥界、じゃなくて明解水理学。やる気のなくなる静水力学を、一番最後に持ってくるところがよく分かっている。理論についての説明はかなり詳しい。水工系の研究室に行くとか、院試を受けるとか、ある程度しっかり勉強したい人へ。ただし、問題に解答・解説がないので、演習には向かない。ただ、範囲網羅度としては、朝倉の水理学のほうが上なので、総合的に考えると、そっちのほうがいいかも。
水理学演習 (基礎土木工学シリーズ)

水理学演習 (基礎土木工学シリーズ)


 問題演習用。ただ、値を計算させる、というより穴埋め・証明・考察などの問題が多く、公務員試験などよりは定期試験や大学院入試向けである。また、出題の仕方がやや曖昧であり、戸惑うことがあるかもしれない。が、理解を深めるための演習用には向いていると思う。理解できていない箇所をあぶり出すのにもよい。
詳述 水理学

詳述 水理学


 水色のカバーの詳述水理学。大学院生レベルだと思う。難しい。「水理学とかいう科目、歯ごたえなくね」という方にはぜひ。そのかわり後半には、拡散・密度流・移動床水理学・植生水理学など、そこまでやるか、という内容が詰め込まれていて、本気で取り組むと楽しい(かもしれない)。ちなみに、僕が一番最初に買った参考書がこれだったけど、さっぱり理解できなかった。
参考:伊東の流体工学
流体力学を理解しておけば、水理学は格段に理解しやすい。 

関連:
三力の参考書 - けれっぷ彗星
構造力学の参考書 - けれっぷ彗星
土質力学の参考書 - けれっぷ彗星
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*1:僕が持ってるのは二版

*2:意味が分からないのが正常です