環境ベンチャーの説明会に行ってきた

 日系企業が採用活動を軒並み延期するなか、環境ベンチャーの説明会に行ってきた。環境ベンチャーというと、たいてい「環境×IT」であるが、今回行ってきた企業は環境技術がメインである。

なぜ環境ベンチャーは林立しないのか?

 これだけ環境ビジネスのチャンスが叫ばれているのに、なぜ日本では環境ベンチャーが林立しないのだろうか?例えば、デロイトのテクノロジー企業成長率ランキングでは、9割程度をインターネット、コンテンツ、半導体などが占め、グリーンテクノロジーはわずか1社である。
 もちろん、「成長率」で見ているからだ、という可能性はあるが、環境ベンチャーといって思いつく企業の数はそれほど多くない。それなりにアンテナを張っていても10社も挙げられない。多くが成長せず失敗しているだけだ、という実態は考えがたい。
 日本人が起業に疎いというのを差し引いたとしても、IT分野ではベンチャーが伸びているわけだから、理由にはならない。となると、環境分野とIT分野を比較して考えてみるとわかりやすい。
 すなわち、政策に対する依存性が高いということである。例えば代替エネルギーを考えると、現時点では化石燃料に比べて価格競争力が低いため、政府による補助金・税額控除なしでは、黒字化が難しい。IT分野に詳しいわけではないが、なにかサービスをローンチするにあたり、政策をどうこうする必要性を感じることは稀だろう。

環境ビジネスの残念なマインド

 しかし、説明会で社長に聞いた話はこうであった。日本で環境ビジネスが成長しないのは、補助金に頼ってばかりいるからだ、と。環境ビジネスを始める経営者は、環境問題を解決するために事業を起こす。すなわち、ビジネスになっていない。自分たちは社会の公益となることをしているのだから、それをサポートするように政策が回るべきである。そういった発想の人が多いという話であった。
 ただ、今回説明を聞いてきた環境ベンチャーが競争力の問題をクリアできているかというと、どうもそれも違うような気がする。「ビジネスモデルに拘る」ことを強調していたが、イマイチどう拘るのかが見えなかったし、悪く言えば「技術を掘り出してきて一発当てた。その資金をもとに環境商社になる」くらいのスタンスでしかないように思う。これだと、「資金があればよい」ということになる。

環境技術を評価できるベンチャーキャピタル

 そういうふうに考えると、じゃあ商社でいいじゃんという話になってしまう。ここでそろそろ、海外、特に米国との比較をしてみたい。環境技術に対し、日本では商社が資金を出してる。じゃあ、米国では?これはベンチャーキャピタル(VC)である。
 海外と比べて、日本ではVCはあまりメジャーな業態とは言えないようだ。しかし、日本にもVCは存在している。なぜ、そこが環境技術に投資しないのだろうか?以前、他の環境ベンチャーの方に話を伺ったことがある。曰く、「日本のVCでは全く評価されず、資金調達ができなかった。しかし、国際的なステージでブースを出したら大きな反響があった」と。
 日本のVC(に限らず資金提供者)は技術を評価することができず、売上などでのみ評価している。海外のVCは技術を評価する能力があるため、技術に投資するリスクが小さくなる。よって、投資も盛んに行われる。
 環境ベンチャーを盛り上げるのに必要なのは、環境技術を評価できるプレイヤー、あるいは環境技術を評価できる枠組み、といったあたりだと思う。環境ベンチャー自体が、環境技術を評価できる企業になるという選択肢もありだとは思うけど、枠組みづくりのほうが現実的かな。日本政策投資銀行とかはやってたかも。