土木工学と生態学の融合はコンテンツの問題だけじゃないかも。

 ガチ土木な研究科に来て一ヶ月。だいたい、土木の人が生態系をどういう感じで理解しているのかがわかってきた。
 土木の人は、生態系を物理基盤の上に成立するものだということで理解している。そういう意味で、一昔前の生態系保全活動で誤解されていた、「ホタルさえ守ればいい」というような誤解はない。種の保全ではなく、生息地保全が必要だ、ということはかなり芯のほうから理解している。
 しかし、そこにも誤解がある。物理環境さえ整えれば、生物が戻ってくるということだ。これは、方向性としてはそれなりに正しいのだけど、突き詰めていくと正しくない。彼らは、物理環境から生物へ伸びる矢印は理解しているが、生物から物理環境へ伸びる矢印と、生物どうしの矢印は感覚的に理解しづらいみたい。
 一方で、生態の人が忘れがちな視点は、他分野との整合性である。社会の問題は生態系のことだけじゃないんだけど、問題解決のアプローチをする際に、生態系さえ守れればよい、というスタンスになりがちであり、これが実際の問題解決を難しくしていると思う。
 で、この生態系分野の人の弱みは、土木分野の強みであることもだんだんわかってきた。そもそも土木っていうのが、機械とか計画とか経済とかも含む包括的なマネジメント必須の分野で、他の領域との整合性をちゃんと考えないといけないような学問体系であるらしい。
 だとすれば、土木工学と生態学の融合っていうテーマは、コンテンツ部分での必要性もあるけれど、むしろ学問の性格上も相補的な関係にあるのかもしれないな、と思ったり。